会社を手放す決断が、「終わり」ではなく「安心」につながった理由
100年近く続いた地場企業を、次の世代へ託した元代表の選択
私は郡山市で代々続く精肉卸の事業を承継してきました。
祖父の代から数えると百年に近い歴史になります。
創業当時は皮革の販売と畜産業から始まり、時代の変化とともに卸としての形を整えていきました。
地域の飲食店や企業様に支えられ、いわば“地場で生きる商売”を続けてきました。
後継者がいないという現実と、消えなかった不安
しかし、後継者がいないということは長く頭の片隅にありました。
私自身も年齢を重ねてきて、どこかで区切りをつけたいという気持ちもあった一方、会社を閉じるという選択肢は考えていませんでした。
従業員の雇用や取引先の関係、これまで支えてくださった方々を思うと「ただ終わる」というのは違うと感じていたからです。
M&Aを考え始めた本当のきっかけ
事業を譲渡するという選択肢に気持ちが動いたのは、会社としての体力、そして自分の体力の両方を考えたときです。
これまでのやり方を守りながらも、これからの時代には新しい経営の視点が必要だと感じていました。
ただ、自分一人ではそれをやり切れない。
その現実を受け止めたことが大きかったと思います。
一番不安だったのは、従業員のこれから
M&Aを検討する中で、最も不安だったのは従業員のことでした。
雇用は本当に守られるのか、これまでのやり方や、地元での商売は続くのか、取引先との関係が壊れてしまわないか。
正直に言えば、「本当に大丈夫なのか」という気持ちは、最後まで消えませんでした。
M&A後、会社に起きた変化
譲渡先は、私が大切にしてきた“地元での商売”の部分を尊重しながら、事業に新しい視点を入れてくれました。
価格競争力や地場のネットワークといった会社の強みはそのまま残しつつ、取引先の見直しや効率化、受注生産の改善、組織の整備など、私では踏み切れなかった部分にも手を加えていただきました。
その結果、会社として「次に進める」という実感を、現場全体で持てるようになりました。
譲渡後の私自身の変化
譲渡後、私は退職金もいただいてリタイアという形を取りましたが、しばらくは会社の様子を見に行っていました。
従業員も新しい体制に戸惑いはあったようですが、現在は組織のスピード感が増し、さらにM&Aでの事業拡大にも挑戦していると聞いています。
100年近く続く会社が“次のステージに行く”というのを目の当たりにしたとき、譲渡という選択は間違いではなかったと強く感じました。
何より従業員の雇用が守られたこと、そして会社としての成長が続いていること。それが私にとって一番の安心です。
もし、あのとき決断していなかったら
祖父の代から続いてきた商売を、また新しい時代に引き渡せたことを嬉しく思っています。
あのとき勇気を持って決断しなければ、事業はただ縮むか終わるかの選択しかなかったでしょう。
一人で悩まず、まずは話してみませんか
- 担当者より
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このインタビューでお話しいただいたように、多くの経営者の方が「相談するだけ」のつもりで一歩を踏み出されています。
最初から事業譲渡を決める必要はありません。
お話を伺う中で、現状や選択肢を整理し、「今すぐ決めなくてもいい」という安心感を持っていただくことを大切にしています。
事業や会社のことで悩まれているなら、ぜひ一度、今のお気持ちを聞かせてください。
(専務取締役 木内 英一)









